排泄は予防の元(はじめ)
今、健康問題を考える(三)
── 地域でできること
地域の医療を考えようということで清水では、地域医療研究会というあつまりが開かれています。老人、ボランティアの人、保母さん、看護婦さん、保健婦さん、からだの不自由な人、そのお母さん、クリスチャン、医者、マッサージ師、私のような医療に関心を持つ人、若者などそれぞれが、自分の仕事、生活の中での体験を語りあいながら、老人問題や、障害者の問題、教育、医療、公害のことなどを考えています。問題をどう解決するかというよりも、とにかく市民がまずお互いを知りあい、そして今何が問題なのかを考えて、出来るところからやって行こうというのです。
── 仲間がいる
定例会で話し合われる内容は、それぞれ仲々深刻なものですので、皆さん真剣です。色々な悩みを抱えている人がなんと多いことかと考えさせられます。そしてそれをなんとかしようと考えている人も、こんなに世の中にはいるのかと頭が下がる思いです。皆さん、名もなく貧しく美しくということを信条としているような人達ですので、こわいものなしというところがあります。
── 私でもできること
現代社会が生み出したものの中で最も深刻な問題は、人間関係の断絶ではないでしょうか。仕事の場で、生活の場で、自由にものをいい、そして心を通じあえるという人間関係は、急速に失われているように思えます。失った“いたわり”の心は仲々そう簡単には取りもどせないかもしれません。時に、無力感すら感ずることがあります。しかし何もやらない前からあきらめるわけには行きません。“私でも出来る”ことを、とにかくやり出すことだと思うのです。勇気づけられることによって、人は生きかえり、お互いを高め合うことによって、人は歩みつづけることが出来る。そして慰められることによって又壁をのりこえていく。 私にも出来るかもしれません。(H)
新しい友人
T君は十八才の工業高校生。将来は専修学校へ行きたいと思っているみかん農家の次男です。彼の家は清水市の小河内というところ。鮎つりで知られる興津川が、少しせばまって農家が集落するようになるあたりです。その彼に柿茶の作り方を教えてくれと頼まれたのです。彼は今年の春、通学の途中だと言ってスイマグを買っていったのです。この時、ビタミンCの話になって、それなら柿茶ということで、じゃあ柿茶を一緒に作ろう約束をしたのです。その約束がのびのびとなって、この夏彼が再び来た時「おじさん、まだか。」と催促されて、それならとにかくやろうと盛夏の夜、柿茶づくりの共同作業とあいなったのです。
夏の夜の共同作業
ちょうどよいことに彼の家に柿の木があるというのです。彼のお父さんの許しを得て柿の葉をもらうことになりました。八月九日の昼頃、取り入れた葉に一枚づつタコ糸を通してそれを陰干ししておいたのです。二日後の十一日の夕方に作業を再開。夏のためかかなり葉が乾いています。その葉をまな板の上で3ミリくらいに刻んでいくのです。刻んだところで今度は、釜の湯が充分沸騰して蒸気の見え出したせいろの中に厚さ3センチくらいに入れてふかすのです。一分三〇秒でせいろをおろして、三〇秒で蒸気をはらい、又一分三〇秒ふかして出来上がり。一人が時間をはかって一人がせいろを動かす共同作業です。出来上がったものは、また乾燥するまで陰干しします。高校生のT君がどれくらいやるかと思いましたが、最後まで一生けんめいでした。
家族だんらん
「とにかくなんでも自分でやってみたほうがいい。」「健康とは生活法であって、それは自分のからだのことは自分でめんどうみることなんだよ。」と。作業をしながらの会話を若い友人を迎えて、私の方が少々興奮気味に楽しんだのです。私がまだ中、高校生の頃は我が家では、柿茶づくりは家族総出の共同作業です。一枚づつの茎をとることに時間がかかりますので人手が必要です。自分達の飲用だけ作るのです。今夏、暑さがきびしい中で、新しい友人と共同作業が出来たことは、なんともうれしいことでした。(H)
── お問い合わせの中から
三保製薬研究所宛に戴くお問い合わせの中で多いのが、目に関することがらです。高校生の方とか、若い方のほとんどは、
◯どうしたら近視が治せるでしょうか。
◯スイマグを飲めば、本当に目はよくなるでしょうか。
といったお尋ねです。
みなさんには、樫尾太郎先生の著書を読んで下されば、ご理解戴けると思いますが、スイマグは制酸緩下剤であって、目薬ではありませんと、お答えしています。 東京近郊の高三の息子さんのお母様からは、「アレルギーがひどいので体質改善の為に、断食を始めた。スイマグは安全なので宿便排除に使いたい。」との事でした。スイマグの縁で、断食から健康のことまで、お話することができました。 都内の中年の女性からは、
◯スイマグの原料は何でしょうか。
◯他の薬と併用して飲んでも大丈夫でしょうか。
◯毎日飲んでも、連用性はないでしょうか。
等々、お尋ねがありました。本当に健康に関心をもっていらっしゃる方が多いことがわかります。スイマグを初めて飲んでみて、大変よく効く方と、すぐには効果がないとおっしゃる方と両極端のご報告も戴きます。効きすぎて、トイレ通いが大変との苦情をも戴きます。その場合は、ご自分の体に合わせて飲む量を加減してください。よく生水(清水)を、お飲みくださいと、お願いしています。(M)
編集後記
︎三保通信は私達の遅々たる歩みであります。少なからぬ人々の目に触れるというので、身の程を忘れて「高所、高学に立って」などという欲が頭をもたげますが、無い袖は振れません。歯痒く思われるかもしれませんが、在りのままの姿でおつき合いをお願いします。ご意見、ご批判をお寄せください。
︎老人の人口は総人口の約10%、一一六六万人にのぼる。子供の数の減少に反し、急速な伸びで、30年後には、20〜30%に達するという。
︎しかし、高齢化社会の内実は寒々としている。平均寿命の延長を喜んでいた時代がウソのようである。果たして、私達の歴史の中で、長生きが心底から歓迎された時代があったのだろうか、という疑問がわく。物が豊かになっても、姥捨伝説の生まれた社会と変わらないというのはどうしたことであろうか(S)
第3号 1983年9月15日