往時雑感
“アフリカの干ばつと飢餓”
一億5千万人が飢餓線にいるというアフリカ。「熱帯サバンナ気候の…地域は、天候不順による干ばつが、程度の差こそあれ、過去に何度も繰り返されてきた。それなのになぜ、一九八〇年代に入っての干ばつが今世紀最悪と言われる飢餓を招いたのか。」(1985年10月3日 朝日新聞)
自然の環境は何千万の人々の飢えを生むほどに苛酷なのだろうか。いかなる地上にも、その風土に培われた人々の永い歴史がある。この歴史は天与の環境と共に生きてきた人民の生活の軌跡である。干ばつが万人の飢餓に発展する。アフリカ社会が抱え込んだ深刻な社会問題を思わざるをえない。
典型的な農業国ゼネガルの場合。「農業の重点は、空腹を満たすのに不向きな落花生の栽培にある。」旧宗主国フランスの石鹸の原料である。国民の大半の主食であるミレットの栽培技術の向上、増産等の、営農指導は植民時代以来全くない。「落花生の増産が従来までの栽培方法を破壊し、被害を拡大した。」という。(1985年10月3日 朝日新聞)
ココア、コーヒーなどの特定の換金作物の偏重、銅、マンガン、コバルト等の鉱物資源への依存が極端に高いという事情が他の国々にもある。
奪われ、押しつけられた植民地時代の負の遺産がアフリカ社会を深く閉ざして今日に至っている。
“援助とは”
援助とは持てる者の施しであろうか。必要として求められているものの手助け、その姿勢がついつい忘れられてしまう。
「飢えは、本質的にアフリカの国内問題であり、彼らが、自らの手で救っていくしかない。私たち日本人には、その手伝いしかできない。政府ベースにのってトラクターを送ってもアフリカでは数年後にはスクラップ同然になってしまっている。援助は、スキ、クワを送ったり、アルファベットやアフリカ人の農業技術者の育成の手伝いをするというように、個人的、日常生活ベースの上で、ささやかで持続的なものでなくてはならない。」(1985年11月19日 朝日新聞 西江雅之)
“異文化との出会い”
「アフリカ人で昔からの考え方をする人は、ヒトは未来に向かって歩むものではなく、祖先が築いてきた偉大な過去の遺産に向かって、忠実に生きることが自分を生き、解放することだと言います。」(1985年11月26日 朝日新聞 小林信次郎)
アフリカでは飢えと貧困に直面しているが、文明国日本では飽食が問題になっている。モノの有無は人間の豊かさを決めるモノサシではない。文明国の民が置き忘れてきたものが、アフリカにはある。異文化の出会いは失われつつあるものに触れる機会でもある。(S)
スイマグの使用法について
“おねがい”
兵庫県のお客様からスイマグについての注意を戴きました。そのために当社の方が反省させられたことなのですが、Oさんのスイマグが「使用前にビンを振ったが、底に溜まってこびりついている。」「これは欠陥品ではないか。」というご指摘だったのです。
お送りした製品と同じロットナンバーのものが当社に保存されていますので、すぐ調べてみたのですが、異常はありません。Oさんには、とりあえず残っているスイマグを送って戴いたのですが、それも異常ありません。兵庫県も南ですので、冷凍でもしないかぎりそれも考えられません。
Oさんには、「問題ないようですが。」とお話ししたのです。そしていく日かしてからOさんが、使用済みのスイマグが固まって、ビンの底に沈着したものを送ってくださったのです。
すでに固まっているもの(水気はある)は水を足して振ってやります。それを飲んでみましたが、問題ありません。少しまだ底に固まっていましたので、もう一度水を足して少し強く振ってみました。それで固まったスイマグは完全に取れました。
スイマグは懸濁剤といいまして、スイマグの粒子が濁って浮いているというものです。そして静止しておけば、必ず沈殿してきます。
この沈殿の度合いが粘度によるものであったり、粒子によるものであったり、主成分であるマグネシウムそのものの性質によるものであったりします。これらを乳化剤を添加して、安定させるという方法もありますが、当社では添加剤を入れない(なるべく自然な製法)でやっておりますので、添加剤を入れてない分だけ製品に若干の差があります。
勿論、効能効果は変わりませんのでご安心戴いていいのですが、今回のことで、改めて皆様にお願いしなければと思ったのは、ご使用前に必ずよく振って戴くこと、それでも残る場合は、水を足して強く振って使って戴きたいということです。スイマグは捨てるものは何もありませんので、全部使って戴きたいと思います。(H)
編集後記
▶︎明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。今年は丑年。牛歩といえば動作がのろいという意味もあるが、噛みしめる程に着実といった意味もある。
▶︎世はあげてスピード化の時代。味わいつつ歩むなどと言えば、時代錯誤と思われそうだが、視野はグンと広くなる。広がった世界で何が起き、何を見るのか、楽しみである。
▶︎三保通信も牛歩型でありたい。皆様とのおつき合いも、そのようになりたいと思います。(S)
第10号 1985年1月1日